2014年04月19日

百年の孤独

百年の孤独 ガブリエル・ガルシア・マルケス

 前回に続いて、ノーベル文学賞の話題ですが、若い人には「ガルシア・マルケス」といえばバックブランド、もしくは焼酎を想像する人もいるかもしれませんが、その南米の偉大な作家が17日、肺がんと肝臓がんで87歳で死去しました。

百年の孤独


 彼の虚実入り交じった物語は海外で「魔術的リアリズム」と呼ばれたいましたが、作家を育んだコロンビア北部の現実に根ざしたもで、リズム、ユーモア、言葉の過剰さが好まれるカリブ海沿岸の「語り部」でした。幼少時代の祖母からいつも民話等を聞かされて育ったのがその所以かは知りませんが、その時の記憶が、死者と生者、過去と現在が縦横無尽に入り交じり、また、メキシコの作家、フアン・ルルフォの作品にインスピレーションを受け、一気に仕上げたのが代表作「百年の孤独」(67年)だといわれています。

百年の孤独


百年の孤独







 「百年の孤独」は マコンドという村の開拓者であるブエンディア一族百年の物語で、 かつての繁栄から蜃気楼のように消えてくマコンドの村の壮大な物語でありファンタジー。まさに一大叙事詩。
 大佐を始めとして出てくるキャラクター全てが個性的であり独善的でありそれはそれで面白い。リズミカルでテンポ展開が早く、次々と出来事が起き、時代が流れ、子が生まれ、それと同時に人が忘れられ、死に、出来事も忘れられてゆく。最後は村自体死に、忘れられてゆく。人間の歴史なんて蜃気楼のように忘れられていくのか?さえ感じる、

 82年のノーベル賞受賞講演では「物語に現れる詩人や乞食(こじき)、預言者、悪党たちは空想の産物ではないのです」と語り、それを理解されないラテンアメリカの状況について「我々の生を信じてもらえないことが、我々の孤独のむき出しの姿なのです」と訴えたが政治には参加せず作家としてつらぬた人生でした。

 ガルシア・マルケス氏原作の舞台を演出した蜷川幸雄氏は「閉塞(へいそく)感漂う日本で彼の作品を読むと、とにかく自由、開放的になり、窒息寸前に思いっきり息継ぎしている感じがする」と話していました。現実を自由にとらえる発想、物語はこれから読もうと思う方には壮大な読書の醍醐味とはまさにこれだと思わせる作品だと思います。20世紀を代表するこの書物を是非一生に一度一読をお勧めします。


偉大な作家に合掌


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Posted by travis at 09:44│Comments(0)
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